周りに悟られぬよう恐る恐る艦これ新刊を差し出すと、検問のSSはそれを素早く懐にしまい込み「さっさと通れ!」と僕の背中を銃床で小突いた。僕の後ろに並んでいた青年は手土産を用意してなかったらしく「これはムラサ船長なんです、信じてください!木曾なんか知らないキソー!」と哀訴していた。畢竟、彼はみぞおちに一撃を頂いた挙句、ゲートに横付けしていたトラックに担ぎ込まれたようだ。トラックの荷台から、検問の兵から、各々の視線がゲートを後にする僕の背中に突き刺さる。生きねば。